従来、日本の窓にはアルミサッシ+一枚ガラスという組み合わせが一般的に使用されてきました。日本の住宅の窓はまだほとんどがこの組み合わせです。しかし、このアルミサッシ+一枚ガラスという組み合わせは断熱性能が十分ではなく、夏の暑さや冬の寒さが室内に取り込まれる原因となってしまいます。その結果、エアコンの電気代などの経済面、CO2の排出量の増加といった環境面、あるいは家の中の温度差により引き起こされるヒートショックや窓の結露によるカビの発生といった健康面に多くの問題が生じます。
これらの問題を解決するため、ヨーロッパなどではより断熱性能を向上させた樹脂製サッシ+複層ガラスという組み合わせの「高性能窓」が広く普及しています。日本でも住宅建材メーカー各社が樹脂製サッシの開発に力を入れるなど、「高性能窓」が普及の兆しを見せています。ここではこうした「高性能窓」について一部ですがご紹介したいと思います。
「樹脂サッシ」は日本よりはるかに断熱基準の厳しいヨーロッパなどで一般的に普及しているサッシで、内外とも樹脂(硬質塩化ビニール材)を使用したサッシです。樹脂はアルミと比べて非常に熱を伝えにくい素材で、アルミの1,000分の1ほどの熱しか伝えません。よって、アルミのみのサッシに比べて、冬の寒さや夏の暑さが室内に入ってくるのを抑えることができるのです。補強材を除いて全て熱を伝えづらい樹脂で出来ているため、非常に高い断熱性能を有しています。サッシメーカー各社の代表的な製品としては㈱LIXILの「ERSTER(エルスター)」やYKK AP㈱の「APW430」などがあります。
㈱LIXILの「ERSTER」の特長としては、①ガラス面積最大化、②ガラス高性能化、③フレーム高性能化の3点が挙げられます。①窓をサッシ(フレーム)とガラスに分けて考えた場合、フレームよりもガラスの方が熱の伝達を抑えることができます。そこでフレームを極力小さくしガラスの面積を大きくすることで断熱性能を向上させています。またフレームを小さくすることで、採光性や意匠性も向上させています。②「ERSTER」ではガラスを2枚使用したペアガラス仕様の「ERSTER S」のほかに、ガラスを3枚使用したトリプルガラス仕様の「ERSTER X」も用意されています。ガラスを3枚使用し空気層を2層設けることで、従来のペアガラスを大幅に上回る断熱性能を獲得しています。③フレームの断熱性能も向上させるため、室内側樹脂部分のフレームの中にある中空層を多層化しています。中空層が小分けにされることでより熱が伝わりづらくなります。ダウンジャケットの羽毛が入っている部分が小分けにされているイメージでしょうか。
YKK AP㈱の「APW430」の特長としては、フレーム全てが樹脂で出来ている点に加え、㈱LIXILの「ERSTER X」同様、トリプルガラスを採用している点が挙げられます。樹脂サッシ+トリプルガラスの組み合わせにより窓全体として断熱性能を向上させています。また、「APW430」では樹脂サッシとしては珍しく大開口スライディング窓がラインナップされています。「引き違い窓」といわれるスライディング系の窓は他の窓種と比較して断熱性能を出しづらいため、特に海外ではほとんど見られないのですが、「APW430」であれば断熱性と眺望を両立させることができます。また、「APW430」のもう一つの特長として、樹脂窓でありながらリフォームでも使用できるという点があります。現状がアルミサッシの窓でも、リフォームで手軽に樹脂サッシ+トリプルガラスの高断熱窓にバージョンアップさせることができますよ。
さて、ここまで樹脂製サッシのご紹介をしてきましたが、いかがだったでしょうか。今後日本でも住宅の断熱基準はどんどん厳しいものになっていきます。今後を見据えて、またなにより、快適で健康的な住環境のために「高性能窓」をぜひご検討ください。
TOPICS| ACTION
2018/12/28
高性能窓